コラム

1 モノの入れ方

1 モノの入れ方

寝かせる・立たせる・小部屋に入れる。

モノの入れ方のコツは、無駄なスペースをつくらないこと、出し入れのしやすさを考えることです。しまい方の向きを見直してみましょう。たとえば、スプレー缶は立てずに寝かして並べると、わずかな高さに収まって奥のモノが見えなくなる不都合もありません。箱入りゲームは重ねるよりも本のように立てて並べると出し入れ便利。細かなものはトレーやボックスなどの小部屋を用意して、散乱と埋没を防ぎます。

2 モノの場所

2 モノの場所

動作にあわせた必然性で決定する。

使いたいと思ったとき、その場でモノが取り出せることが理想的。使う場所の近くにモノの置き場をつくり、最短の距離でモノが取り出せるようにします。使い終わってしまうときも、最短距離で収納できるので、出しっぱなしのモノがぐんと減ります。使用頻度の高いものは出し入れしやすい場所に収納するなどして、ふだんの動作や動線からモノの最適な収納場所を見つけましょう。

3 モノの連鎖

3 モノの連鎖

“関連収納”という発想でモノとモノをつなぐ。

手紙をもらって返事を書くために「便せん」を用意します。当然、「筆記具」も必要だし、愛用の「ポケット辞書」も要ります。書き終わったら、「封筒」に入れて「切手」を貼って送ります。このように、手紙を書くという行為に必要なモノを関連づけて収納するのが“関連収納”の考え方です。趣味の道具、家事の道具、おもてなしのセットなど、関連収納の発想でモノをつないで収納しておくと、使うときにあれこれ探すことがなく便利です。

4 専用スペース

4 専用スペース

棚板、トレー、引き出しで最適な機能を備える。

使いやすい収納は、内部の機能性が重要なポイントです。便利そうな多機能性よりも、ここにはこれを入れるといった専用スペースを設けましょう。フレキシブルに動かせる棚板を細かく設けたワイシャツ専用棚。使う場所にそのまま持っていける常備薬トレー。入っているモノがすべて見渡せるアクセサリー専用トレーなど。どこに何があるのかを明快にしましょう。

5 家具の置き方・並べ方

5 家具の置き方・並べ方

収納家具のレイアウトで、空間の質を高めます。

収納家具の置き方によって、空間の美しさ、機能が変わります。リビングや寝室の壁一面に壁面収納を設置すれば、収納量がアップしてすっきり広々とした空間が得られます。LD空間でリビングとダイニングの間に間仕切りとなる収納家具を置けば、ゾーニングを図りながら便利な収納が集いの場に備わります。また、組み替え可能な生活収納家具は、引っ越しや新築の際、新居にあった収納を再構築できます。

6 動線と生活行為

6 動線と生活行為

人と空間の接点に収納家具を設置しましょう。

どこにどんな収納を設置するかを考えるには、どんなモノがあるのかを把握しながら、そのモノを使うためにどんな動きをするのか、生活行為と動線を照らし合わせることで、合理的な美しいレイアウトのヒントが見えてきます。家事に使う道具は、その作業をする近くに。家族みんなが集まるリビングには、家族みんなのモノを収納する家族収納を。そんなふうに考えていくと、収納家具のレイアウトプランが必然的に決まっていきます。

7 容量・サイズ

7 容量・サイズ

8割使って2割のゆとりを残しましょう。

やみくもに収納スペースを設けて、生活空間を圧迫するのは本末転倒。モノの量を把握し、無駄なものを増やさないことで、最適な収納量を設定することがプランの基本。ただし、収納量には、2割ほどの余裕をみておきましょう。新しいモノが入るスペースです。新しいモノが増えたら、不要なものを処分することが基本ですが、入れ替え期間に対応するためのゆとりが必要です。収納スペースは、8割を使うことを目安にして、容量、サイズをプランしましょう。

8 床・壁との調和

8 床・壁との調和

インテリアを描くキャンバスとして、
収納家具は主張を抑えて。

収納家具は住空間と一体となったものとしてとらえましょう。美しいインテリアの下地として、デザインはシンプルにひかえめに。壁面収納なら、白や淡い色のほうが、圧迫感が少なく仕上がります。ローボードや腰高の収納なら、さらに圧迫感が軽減されます。落ち着いた雰囲気にするなら、濃いめの色調で。床や壁との調和を考えて、シンプルな表情にすることが美しい空間デザインのためのポイントです。

9 見せる・隠す

9 見せる・隠す

隠す収納を基本にして、
ちょっと見せるバランス感覚。

飾りたいもの、どう飾るかイメージがあるときは、それに合わせたオープンスペースやシェルフ、ガラス扉でプランします。ポイントは、飾るスペースには、飾るもの以外を置かないことです。たくさんのモノを収納して部屋をすっきりとさせるなら、隠す収納でプランします。壁面収納なら、天井までの一枚扉がおすすめ。隠す部分が9割で、1割くらい見せる収納を組み込むプランもおすすめです。

10 壁面を残す

10 壁面を残す

低い収納の上部に飾るスペース、
現代版の床の間を。

低い収納をプランして、上部の壁面を残すと、飾るスペースができます。現代版の床の間ともいえる、ホームギャラリー。収納の天板には、四季折々の花を飾ったり、コレクションの陶器やガラス製品、家族の大切な思い出を写した写真などを。壁面は、絵を掛けるスペースになります。作家の作品でなくても、趣味で描いた絵や、お子さんが描いた絵を額にいれて飾ってあげるのも楽しいインテリアのアイデアです。

11 モジュール

11 モジュール

タテ、ヨコ、奥行きのラインを
そろえた直線美を。

モジュールとは、基準となる寸法のことです。日本建築の「尺」や「間(けん)」もモジュールで、畳や襖や障子などはモジュールがコーディネートされて空間美を生みだしています。生活収納家具をプランするときも、モジュールに当てはまるようにキャビネットや扉の構成、奥行きの統一などに配慮することで、水平、垂直に描かれる直線にリズムが生まれ、美しい仕上がりとなります。

12 子供の躾と収納

12 子供の躾と収納

子供の自主性や考える力を育みます。

片づける習慣を身につけることは、お部屋をきれいにするだけでなく、さまざまな能力を育みます。ぜひ、お子さま専用の収納を用意してあげましょう。子供部屋には学習用品、図書、玩具、衣類が整理分類して片づけられる収納を。リビングの収納にも、玩具や絵本を収納する子供専用スペースを設けましょう。そして、ご両親が良きお手本となり、家族みんなで、美しい暮らしのための収納を心がけましょう。

13 団らんとコミュニケーション

13 団らんとコミュニケーション

モノが集まる。家族が集まる。会話が生まれる。

家族みんなのさまざまなモノが集まるリビングには、十分な収納量を確保して、それぞれの専用スペースを設けましょう。すっきり片づいたリビングには、自然と家族が集まります。そこに自分の好きなモノが置いてあれば、リビングですごす時間が長くなり、家族共有の本棚があれば、本を介したコミュニケーションも生まれます。気持ち良くすごせる空間があるから団らんが生まれる。収納にはそんな役割も備わります。

14 モノの吟味

14 モノの吟味

「好き」にこだわると、暮らしが美しくなる。

衝動買いを控えようと考えていても、いつの間にか埃をかぶっているモノがあることに気がついて、「何で買ったんだろう?」と思うことはありませんか。モノとのつき合いで大切なことは、「好き」だという気持ちにこだわることです。好きなモノは、置き方や飾り方に悩むこともありません。一つの嗜好で選ばれたモノは、自ずと統一感のあるインテリアとなります。好きなモノと、丁寧につき合って暮らしましょう。

15 人を招く

15 人を招く

片づくと招きたくなる、招くと片づけたくなる。

美しく片づいた住まいを維持していくコツのひとつは、人を招くことです。無理をしなくても、お部屋がすっきり片づけば、誰かを招きたくなるものです。お客さまが訪ねてくる機会が増えれば、住まいを美しく整えることが自然と楽しくなります。モノをしまい込むことが収納の目的ではなく、住まいの環境を整えて、自分らしい理想の暮らしを楽しむことに収納の本質があると考えます。美しい暮らしのための収納生活を身につけましょう。